THE BROTHERKITE/THE BROTHERKITE

今日は凄い勢いで熱いです。そしてうざいです。ググルで検索しても殆ど情報がヒットしないんで途方に暮れました。Amazonにもタワレコにも入っていません。ワルシャワで買ったはずなのにワルシャワで検索しても出てこなかったのは何故に。と思ったら「thebrotherkite」表記なのかよー!!!。LINUS RECORDSのストックにもあったんで、欲しい人はそこらで買ってください。ユニオンでも買えるはずなんだけど通販はなかった…。「some of us」も、店頭には置いてあったんだけどなぁ。でもこれは自信を持って「本当に買った方がいい」と言えてしまう作品だから。気になった人は買った方がいいです。苦労してでも手にする価値がある。絶対。

お守代わりのパワーストーン
LINUS RECORDS/TOPページ
http://www.diskunion.co.jp/top.html
Armoire Building Plans : Armoire Bar Ideas, Espresso Armoire Wardrobe, Ikea Cupboard Storage - Large Antique Armoire
Independent Record Store :: Vinyl Junkie(ヴィニールジャンキー)UK / US WORLDWIDE INDIE STORE

誰しも「出会ってしまった」っていう作品があると思う。しかもそれが不意打ちであればあるほどに衝撃はでかい。遠き日のThe Stone Roses。在りし日のDurutti Column。ZombiesやRaspberrys。WIREJOY DIVISION。CLASH。WUNDER。ulrich schnauss。MATTEW SWEET。スーパーカー七尾旅人中村一義。thee michel gun elephant。そしてMY BLOODY VALENTINE。どれもこれも初めて聴いたときに「これだ!」と思って胸がドキドキしてしょうがなかったものだ。今までの価値観がいったんリセットされてしまうような感覚。下手すりゃ世界が変わって見えた。
ニューウェイブやポストパンク、ノーウェーブなんてリアルで通過しているはずもなく。グランジだって間に合わずにカートは死んじゃったし。シューゲイザー、クリエイションにも遅れてしまった。けれど元はクリエイションだったOASISの成功とその裏の没落は見た。ブラーの変わっていく姿もメンズウェアの駄目さもプライマルの素晴らしきしたたかさもアンダーワールドの解散も。スーパーカーのデビューにも中村一義のデビューにも間に合ったし今考えるとこっぱずかしい「ブーム」であったエレクトロニカブームもリアルで見た。フジロックがどんどん知名度を高めて行くのを見た。SNOOZERも読んでいた。もうやめちゃったけど。米国音楽も読んでいた。クッキーシーンも読んでた。こっちは今でも読んでる。ロッキングオンも読んでた。よくリアムがグリーンデイを馬鹿にしてた。ジザメリは態度悪いなぁと思ってた。トランスが流行った。電気が解散して復活した。みんなマイブラを待っている。岡村靖之みたいに。岡村ちゃんみたいに。太ってもいいからあの頃のときめきを、って思ってる。それなりに色々通過してきたんだ。つまんない学生時代に。投げやりだったあの頃に。下ばっか向いてたけれど、色々通過してきたんだって思った。
そして出会ったのがこのバンドだった。THE BROTHERKITE。以前も紹介したことがある、アメリカのシューゲイザーレーベル、CLAIRECORDSからデビューした4人組バンド。クレアの055番。これが彼らの1stアルバム。これがね、凄いんですよ。「もろマイブラ」「もろRIDE」「もろデスキャブ」、とかそういうレベルを乗り越えて凄いんですよ。電車の中で聴いてて思わず泣きそうになっちゃったもん。clairecordの中では一番ロックンロールしていて疾走感あって普通の人にも聞き易い音だと思う。「デスキャブmeetsマイブラ」ってのは言いえて妙。上手いたとえだと思う。シューゲイザー+エモ+パワーポップ+インディーポップって感じかな。ドリーミーだけども音はガツっとロックな感じです。
もうね、音とメロディーが素晴らしいんですよ。めちゃめちゃ蒼い。「蒼い」としか言い表せない美しくて生々しいサウンド。ギターの音は時に「うざいなー」と思えるほどにフィードバックしまくり。天から降ってくるような美しい轟音、耳障りのよいノイズの嵐。現実から乖離して浮遊感が漂うシンセの音。やる気がないわけでもなく、だけども気負ったところもないボーカル。この声がまた透明感あっていいんだな。女の子とツインボーカルなんだけど、この女の子ももちろんslowdive系で幽玄的。本当に音がいいんだ。ギターの音が。デスキャブみたいに。思いっきり鳴らしているんです。それがものすごく美しくて生々しい。感情的なギターではなくて、その「思いっきり鳴らしている」こと自体が生々しいのだ。ファズギター好きな人、轟音が好きな人はもう泣いてしまうくらいにたまらないと思う。
1曲目のシンセがゆっくりと広がる始まり。雲を切り裂いて降り注ぐかのようなギター。ジザメリやローゼズみたいなイギリスのバンドに多い甘いボーカル。淡々と進んでいきなりサビで広がる展開がもう。暗いトンネル抜けていきなり明るいところに出たような凄さ。目が眩む。眩しすぎて音で目が眩む。2曲目はいきなり疾走感あるキャッチーな曲だし。ギタポやパワポ好きにはたまらないだろうなっていう爽やかさ。キラキラしているんだけどもどこか影を感じてしまうのは何故なのか。
シューゲイザーは静かな轟音を鳴らすバンドである。モーサムゆら帝でもそうですが、轟音の中に身を任せると何故かふと寂しくなるのは何故なんだろう。シューゲイザーの浮世離れしたこのドリーミーサウンドを聴いていると特に思う。この音が消えたら彼らはいなくなってしまうのではないかと。静かな轟音だ。煩わしくない。ただひたすらに掻き消えそうな儚さをである。シューゲイザーにつきまとうのは轟音の裏の儚さなんだよな。あぁ、切ない。
淡々とアコギで進む3曲目などはローファイ/エモ派は好きだと思います。短いけどめっちゃいいメロディーなんです。淡々さがなんか泣ける。そして4曲目。凄いです。とにかくギター。鳴りすぎ。しかもどれもこれもフレーズが泣きフレーズ。でもこのギターの音はどうやってもTEENAGE FANCLUBの音なのです。どうしてもTFCを思い出さずにはいられない。だから余計に蒼さを感じてしまう。しかもめちゃめちゃメロディアス。盛り上がりすぎってくらいに壮大なボーカル。コーラスの女の子ボーカルも本当に可愛いんです。この音の絡み方は「音で全てを洗い流す」ってくらいに勢いがあって好き。最後の方でギターとボーカルがぽつんと鳴っているところがあるんですけれど、そこがもうぞくぞくする。鳥肌もん。とにかく「くるぞくるぞ、きたー」って感じの盛り上がり方がローゼズの「I WANNA BE ADORED」に近い。
5曲目もロック色が強い速い曲。めっちゃアメリカっぽいインディーロック。こういうのを聴いているとふとRIDEを思い出す。6曲目がこれまたギターうるさすぎって感じなんですけども。乾いたメロディーが最高なんです。なんかさ、本当に全ての音が生々しいんだよね。痛みのある音だ。シューゲイザー特有の痛みのあるサウンドだ。7曲目はもろにDINOSAUR JR.やSWERVEDRIVERの音なんですけども、サビの突き抜けたキャッチーさがナイス。今度はドラムですらうざいくらいに鳴っている(笑)。でもこのサビがあまりに泣けてしまうのでもういい。ギターソロのフレーズで泣けるってのがまた。蒼いってのはこういうことを言うのだ。子供には鳴らせない音だ。そして大人にも鳴らせない音だ。暴論だけども蒼い音ってのは正にシューゲイザーの為にあるような言葉だ。その宙ぶらりんな精神からしか鳴らせない音なのだ。大人だけども大人になるだなんて想像つかなかったのだ。けどももう立派な大人なのだ。けども忘れられないことが、捨てたくないことがまだあることに気がついたのだ。そういう状態で聴いていたから泣きアルバムだったんです、これ。
8曲目が静か目に始まる、「ドリーミーサウンド」の極地。遠くで鳴っていた音がいきなり耳元で鳴り出す瞬間の心地よさ。ひたすらにかき鳴らされるギター。フェードアウトして行くボーカルと静かで儚いシンセの音。蒼さは遂には白さになって浄化して行く。ふと空を見上げていたことに気がつく。そういう音なのだ。目を閉じて空を見上げたくなるような気持ちよさだ。その轟音が、夢が終わって自分が独りで立っていたことに気がつくのだ。小さな痛みがある。それを感じられればいいのだ。
8曲で合計40分53秒。捨て曲なし。
全てのシューゲイザー好きに、インディーロック好きに、エモ好きに、90'sパワーポップ/ギターポップ好きに。初期RADIOHEADDEATH CAB FOR CUTIESMASHING PUMPKINS、初期スーパーカーLOST IN TIMEイースタンユース、ストーンローゼス、JIMMY EAT WORLD好きに。是非手に入れてみてください。何度聴いても何度聴いても飽き足らない。今年のベストかもしれません。
調べてたら男の子(多分)で、「これ聴いて泣いた」みたいなことを書いてる人がいてなんか嬉しかった(笑)。いいやつだなぁ(笑)

1,GOODNIGHT,GHOODNIGHT,GOODNIGHT
2,THE MUSIC BOX
3,MERE APPRECIATION
4,SIMPLY SAY MY NAME
5,PORCELAIN
6,DEATH RAY
7,THE BLACKOUT
8,THE WAY THAT YOU CAME DOWN
タイトルも絶妙な雰囲気漂ってますよね…

http://www.clairecords.com/
http://www.thebrotherkite.com/
tonevendor.com :. welcome