nil/The Covering Inferno

nil/THE COVERING INFERNO
2004年11月25日発売
春に出た1stアルバムに続く、nilの4枚目のミニアルバム。内容はセルフカヴァー含むカヴァーアルバム。全6曲。アルバム発売後の長期ツアー中、「2ndアルバムを出す前に今の勢いと音を租借してもらおう」と言う事になり発売されることになったらしい。その辺りの理屈が今一分からないのですが、要は「カヴァーを出したかった」という事なんだと思います(笑)
内容はセルフ以外は全て80年代、それも思い切りヒットチャートモノの80年代ロック/ポップモノです。ジャケ帯に「ベストヒットUSAチルドレンの逆襲が始まった」(by小林克也)と書いてありますが、正にその通り。と言っても別に私は懐かしくないしそもそもベストヒットUSAを聴いた事がないので何とも言えません・・・。ただそれをカヴァーしているわけではなく、哲君曰くテーマは「80'S MEETS 90'S」と言う事らしいです。言い換えれば「NEW WAVE MEETS ALTANATIVE(グランジ)」と言う事でしょうか。オルタナの定義が広すぎて分かり辛いですが、この場合は90年代に流行した「あの」オルタナでいいんだと思います。グランジを中核に含むオルタナってことですかね。要はルーツ通りにやってみるってことみたいです。趣味じゃんそれ!!って言う(笑)。帯に「これが正しく時代を通過したロックだ」と微妙な事が書いてありましたがそういうことなんだろうと。色んなアーティストのルーツサウンドMIXアルバムである「BACK TO MINE」シリーズの亜種だと思ってください。←・・・うわ、今超適当に言った(笑)
少年逃亡兵を訪れる方っていうのは1974〜1984年生まれに納まる方が大半だと思いますが。どうなんですか。私は1979年生まれなんですけども。80年代なんて物凄い勢いで洟垂れ小僧だったんで。幸か不幸か初めてどインパクトを受けたアーティストがブルーハーツですから。このアルバムの楽曲リストを見てもまず一番上知らない。2曲目3曲目と6曲目は聴いた事がある。と言うか6曲目は前レッドラム版をライブで聴いた。4曲目と5曲目は持ってる、というレベルです。そんな状態の中聴いてみましたよ。

1,PERFECT STRANGERS(deep purple)
2,RUN TO YOU(bryan adams)
3,YOU SPIN ME ROUND(DEAD OR ALIVE)
4,COME ON EILEEN(dexy's midnight runners)
5,SHOUT(TEARS FOR FEARS)
6,sorrow flows the midnight(REDRUM)
凄い勢いでベタベタです。本当に80年代に素で聴いていたんだろうなということが伝わってくる選曲です…。後追いでニューウェーブ行った人(って言うか自分)は初っ端には触れなかった部分です。デキシー以外。これ見てると逆にリアルだなぁ(笑)
えっと、まずこのアルバムが80年代のヒットチャートモノカヴァーと聞いた時に、私が勝手に抱いていたイメージは打ち消されましたね。そのイメージとは即ち、ドラムが軽くて全体的に音がスカスカ、シンセの嵐ディレイの嵐、小奇麗さ、べたべたなキャッチーさ。そしてロックって寄りは薄いロック色に浸したポップス、みたいな感じがあったんですけど。80年代のメインストリームってそういうイメージだったんですよ、私的には。
けど思った以上に、うん、本当に想像以上にめちゃめちゃロックでしたね。かなりハードな音でした。多分予想以上にグランジ色が強いと思います。1曲目は元が元だからいいとしても、5曲目とかすっげぇポップ、ホント原曲はディペッシュモードみたいな音だったのに、普通にロックになってるね(笑)。
全体的にハード。

1曲目は70年代ハードロックをイメージしてみてくださいと言った方が早い気がします。…私が一番疎い部分ですが(笑)。大仰で真ん中ガッツリ、みたいなギターの音が全てを物語っている気が。シンバル多くて派手なドラムもそうですが。ベースも含めて全部が大仰。ギンギン。つーか派手。これライブでやるんですかと思わず問いかけたくなる…。それにしてもnilさんはどこまでも時代と逆行していきますね(笑)
2曲目がかなりグランジ寄りなアレンジだと思います。いや、知らないけど(笑)聴いて言ってみただけ。私の中ではこういう音の歪ませ方はグランジっぽいなぁと思うんですよ。肝心なとこでベースが押さえて持っていくところも90年代初期な感じが致します。原曲ってまともに聞いたことないけど、こういうハードっぽい音なんですか?
3曲目。あ、エレでサイケな部分が打ち消されている、ロック全開でゴスのかけらもないじゃん、と思ったんですけど。真ん中の部分が若干エレ/ニューロマなのかなぁ。分かりません。だって完全にハードロックなんだもん(笑)ZIGZOをハードにしたように聞こえてしまったりも。こういう哲君のがなり方はすっげぇ個性的(笑)。完全に哲君節全開ですね。これ好き。
4曲目。私が好きなデキシーズ。原曲よりテンポ早めな上に男だらけのコーラスに闇があります(笑)(嘘)。これは割と原曲ままなんじゃないかと。原曲をちょっとロックしてありますが元のご機嫌さは残っています。それにしても茂呂ちゃんの声きれいだなー(笑)。すっごいよ(笑)。これベース大変そうだよね。絶対ライブで手の動き凝視しそう(笑)。あとやっぱNES琢郎氏のバイオリンが原曲同様にいい味を出していると思う。このアルバムの中で一番好きだ。哲君の声もいい感じ。絶対サビでがなるよこの人はと思っていたけども予想通り。しかもそれがいい感じにはまっていたんでGOOD。ロックって寄りはディスコ寄りな雰囲気のベースラインが好き。全体的にご機嫌ムーディー。ライブで騒げる事を考えるとこのテンポでもいいなと思いました。
5曲目。原曲よりこれは少しダークになってますね。元はシンセ効果かもうちょい広がりある感じなんですけども。けどいいメロディーですね。なんとなくU2を思い出しました。音は違うけど雰囲気ね。ちょい重めで少しだけ歪んでてでもメロディーは哀愁あってきれいだなぁ、みたいな。ベース違うなと思ったら結構歪ませてるんだね。あ。確かめようと思ってレコ日記読んでたら、哲君曰く「TEARS FOR FEARS MEETS MOGWAI&U2」かーーーーーーーー!!(笑)。そうだったのか…。そうだったのか…。まぁ重苦しい部分はそうなんだろうな。納得。あそこまで轟音じゃないですけども。なんとなく言いたい事は分かる気がしました(笑)。しかも今、素でU2の名前出したんですけど。当たってて良かった…。全然違う事書いてあったら泣ける(笑)

〜そしてただ今レコ日記読み返し中〜
・2曲目がグランジ寄りアレンジってのは当たっていたみたいです。「BRIAN ADAMS meets PEARL JAM」らしいので。やっぱそういう音だよなと思うから。
・1曲目が「DEEP PURPLE MEETS SMASHING PUMPKINS」ってのは分かりません(笑)。樫本さん説明してください。後期、マシーナとかの頃ってことですか?
ってことはメタルじゃん!!(笑)
スマパン=「siames dream」派の私的には「?」という表記です…(笑)。
・3曲目は「DEAD OR ALIVE MEETS NIRVANA」って哲君が言ってるけどこのカッティングはなーんか別のものを印象させるけど思い出せない。なんだっけ・・。なんだろ。気になる。
〜終了〜

6曲目がセルフカヴァーで哲君がREDRUMに提供したもの。レッドラムがやるともうちょい透明感あって重い感じになる。nilがやるともう少し生々しい感じになる。どっちも個性がありますが。レッドラムはライブでしか聴いた事がなくて音源持ってないから細かい比較の仕様がないな。感想だけ。
モナリザ〜夜の色系譜。ダーク、ミドルな感じの路線。けどサビのメロディーは広がりあっていいよ。全体的にマイナーですが。やっぱ哲君作詞作曲だけあって慣れてると言うか哲君らしいというか。声の出し方とか歌い方がホント「哲君」って感じの曲だと思います。こういうギターの音出すのかーと思った。音に関してはムーディーに徹しているリズム隊がいいね。これに関しては密やかにベースが一番いいと思う(笑)。目立ちすぎず、でも一番美味しい動きしているんじゃないかという。レッドラムっぽいイメージであるポーティスヘッドやマッシブ的暗さとかきれいさとか重さがありますね。


<総合>
哲君の声はハード系の音に合うね。逆にシューやギタポには合わないと思いますが(笑)。1曲目〜3曲目を怒涛の勢いで聴いていて本当に思いました。派手な音に合うなーと。ぎゃんぎゃんしているからなのかな。けど6曲目みたいなしっとりした歌も歌えるところが魅力なんだと。あと哲君はご機嫌なテンパリムード全開のパーティーソングも行けるんだと言う事が分かりました。哲君は声と歌い方が特徴ありすぎて大体どの曲も哲君全開になっていますが、4曲目は本当に良いな。予想以上に合ってて面白かった。でもあの早口の部分歌うの大変そう。ライブで注目。
80年代のカヴァー集なのに音はもう90年代全開というところが凄い面白かったです。しかもやっぱヘビー路線なんだよね。これは自然にそうなっちゃうんだろうか。だとしたら面白いね。私がメインで通ったのはモグワイやらスマパンやらの90年代部分なんで、こっちの方が耳に馴染みがいいといえばいい。その点「80年代懐かしい派」の方々はどうですか?意見を伺いたいものです。メロディーは若干名残を感じたりするけど。普通にオルタナ聴いてる感覚で聴いてました。普段のnilからするとなかなかない音なので新鮮でした。nilオリジナルだともっとバリエーションあるし派手だけどここまでハード&ヘヴィではないしメロディーももっと高野節全開でひねくれてますよね。
nilの「ある一部分」を垣間見えたな、という作品。それが全体ではないですけどまぁ一部ではあるんだろうな、という。しっかしライブどうなるんだろう(笑)。SHOUTとかどうすんの??(笑)。ドキドキっすよ。

1500円だから買ってください。けどアルバムはもっと買ってください。お願い致します。

参考:樫本レコ日記