2004総括編<今年のまとめ>

そろそろやるかー。12月だし。今年出たやつ限定で。そして再発含む。多すぎてあんま分かりませんが今年発売されたもので「いいなぁ」と思ったもの、「好きだなー」と思ってよく聴いていたもの10点です。順番は関係ないですけどもブラザーカイトは別格かもしれないので1番上にしてみました。コメントはまだつけてません。今週中につけられればいいなぁと思う(予定)

そんなわけで本日書き終わりました。

2004年度まとめ編です。それではどぞー。

thebrotherkite/thebrotherkite
USインディー。今年は個人的に再シューゲイザーブームだったんですけど、群を抜いてお気に入りでした。マイブラやデスキャブを髣髴とさせるメロディーや音の波。何より良かったのが生々しくて蒼い蒼い音。夕方の紺色の空みたいな音だと思う。壮大さや青臭さ、若さや勢いを全部含んだ音が最高。やる気がなくて甘ったるい声もかなりの勢いでシューゲイザー。一番聞いた。そしてまだまだ飽きません。新人バンドなのにセンスありすぎ。「このギターの音があればいいよ!!」と思えるバンドをまた見つけてしまった2004年でした。ファズギター。轟音と歪み。その中にある蒼い心地よさ。青春は止まらない。

BRIAN WILSON/SMiLE
この作品の(一応)正規完成盤に出会えたというだけで感涙って方も多いんでしょうね。永遠の未完成作、ビーチボーイズ「スマイル」37年ぶり完成盤です。多くの人の予想に反してウルトラ素晴らしい傑作。純粋で甘くてドリーミーな世界が広がりまくり。その世界観の素晴らしさ、完成度の高さに閉口する。聞いた人は分かると思いますけども、音一つ一つのキラキラさもさることながら曲のつなぎ、コーラスまでもが凄すぎ。とにかく完成度の高さに脱帽。こんなに風景が見えてしまうアルバムは素晴らしい。

The Beakers/Four Steps Toward a Cultural Revolution
POST PUNK。最近はニューウェーブ、ポストパンクが再びブームになっているみたいなんですが、こちらは本物シアトルのポストパンク。79年か80年ごろの音源集です。Kレーベルよりリリース。かのジェームスチャンスが「ポストパンクの源流はフリージャズである」って言ったのが分かってしまうくらいに奔放。その暴れっぷりがめちゃめちゃかっこいい。吹き荒れるサックスにすげー適当なボーカル。けども鋭すぎるギター。ポストパンクにおける「かっこいい」部分を殆ど兼ね揃えているのがナイス。さすが本家本元。

nil/12 INPLOSION
聴いた回数ではブラザーカイトの次ですが作品全部総合した回数なら断然nilが一番だと思います。そんなわけでnilの1stフルアルバム。ミニアルバム/シングルで3枚出してたんですが、その延長かと思いきや結構違う路線で来たんで驚いた。シンプルに3人で音を出す事に専念したアルバム。言うなればシンプル。けど地味になりきらないのは元の曲の派手さだとか音圧だとか演奏っていう感じかな。そういう前置きがあるアルバムなんで、これらの曲はとてもライブ映えする。そんなわけでnilは一度ライブを見ることをお勧めします。音の他に特出すべきこととしては哲君の詩や感覚がとてもシンプルで素直になったことかな。昔なら「サーカス」みたいな詩は書かないと思っていただけに意外でした。私は「サーカス」がとても好きなだけに、こういう風な曲を出してきたnilにとても期待をしています。

THE FANS/YOU DON'T LIVE HERE ANYMORE
ブリストルパワーポップバンド、ファンズのこれまた音源集です。79年かな。忘れたけどそのくらいに活動してた。シングルである最初の4,5曲目のキャッチーさと勢いでノックダウン。パワーポップはパンク過ぎても聞きにくいけどギターポップくらいに軟弱でも聞きにくい、と思っていたんですが、これはそのどちらでもない、私の中での超正統派パワーポップ。音とか演奏は完全にパンクなんですが、コーラスとかメロディーのフックの軽さとか、たまに哀愁漂っている部分がいいなぁと。軽やか過ぎない。けどキャッチー。そんな絶妙なバランスが最高。そしてとにかく疾走感がある。ライブやばかったんだろうな。バンド名にも感涙です。

THE SIX PARTS SEVEN/EVERYWHERE AND RIGHT HERE
アメリオハイオのポストロック。というかインストモノ。スロウで哀愁があってややダウナーなんですけども、音そのものは柔らかくてドリーミーです。そんなわけでドリームサウンド好きの私にはたまらないものがあるので選ばれました。音響エレクトロニカモノはドリーミーなものが好きですから。繊細に折り重なっていく音がとにかく柔らかくて優しい。音数が少なくて、ひたすらに美しいメロディーだけを追っていきたくなるM3が最高です。こういう静かさは時に必要。本当に落ち着く。リズムの部分がロックを引きずっている感じがしたんでポストロックと書きましたが、本当にこの辺りのライン引きは難しいですね。どっちにしてもここ数年、インストや音響モノを聴いている割合がどんどん増えてるのは確かでしょう。とにかく優しい音色が好きだ。ジャケと違う音。

The Rubinoos/Live In Japan
レッチリやクイーンやストーンズなど、今年もよいライブ盤が出てますけど、やっぱりこれを選びます。アメリカの70年代王道パワーポップバンド、ルビナーズが来日した際のものです。これね、メンバーもいいけどお客さんが素敵すぎ。あったかくて盛り上がりまくりで最高です。このお客さんの反応を聞いているだけでとてもいいライブだったんだろうなってのが伝わってくる。ライブ自体もホントいい。きれいなハーモニーが相変わらずのボーカル。Arcade QueenやあのI Wanna Be Your Boy Friendもやっていて、ホント最高です。まだ現役ってのもすごいけどこの最初のコーラスを聴いただけで涙もんです。楽しすぎ。安定して「いいなぁ」と思う曲ばっかり。大御所なんでまぁ当たり前なんだけど。大御所の割にMCほっこりしてて可愛い。王道ロックでポップで楽しい。いいね。貫禄ですね。フレーミングルーヴィーや、レッチリもカバーしていたルッキンググラスのBrandyのカバーも収録。けどなによりラズベリーズのTonightだね。とにかくあの最初のボーカルにやられました。ルビナーズがやるとラズベリーズより明るくて楽しい感じになるね。あのボーカル聴いたときのお客さんの「うわー」って感覚、分かるなぁ。とにかくいいライブ盤。ライブの良さがとても詰まっている。

七尾旅人/およそこの宇宙に存在する万物全てが【うた】であることの最初の証明
とても久しぶりに音源を出した七尾旅人なんですが、これに収録されている40分のDVD(とてもチープに葉っぱを食べている旅人)は最初結構ひきました。前々から素敵に変わっている人だなと思っていましたが、M2の「それでも地球は歌っている」で思った。こりゃ誰にも出来ないなと。旅人のボーカルはボーカルを超えている。声や言葉そのものの持つ意味を召還する。余計な説明を使わずにそれを実行しているのが凄い。と言うか、旅人は以前ボーカルの意味を自身のサイトで「活字で」説明しようとして精神不調に陥ったっぽい節があったんでこれを聴いたときに少し安心しました。的確な4つ打ちや不思議なリズム。メロディーを奏でない音。メロディーを奏でる声。不穏さや不思議さや広がりや美しさを持ったM1は大好き。不思議な質感を持った作品。言いたいことはこれだよ、君に幸あれ。そんな歌詞が頭の中を駆け巡る。何だろう、機械を使わず人力でスクラッチとかリピートしてるところが好き(笑)。「言いたいことはこれこれこれ(←機械によるリピートではなく自分で繰り返してるだけ)だよー」とか。M2の七尾旅人さんは語り部シャーマンです。この人もある意味世界観凄すぎ。しかもたまに破綻してるがそこもまた魅力なんだろう。旅人に関してはずっと付いていく事を決めているのでランクインでございます。

THEY MIGHT BE GIANTS/THE SPINE
80年代から活躍しているブルックリンのポップ職人TMBGの最新作。どうしてもっと話題にならないんだよってくらいに良かった。ホントストレンジでポップ。ちょっとひねくれてるんだけどもとびきりにポップ。私はXTCよりTMBGが好きさ。自分自身のポップ信念に基づいた上でやりたい放題やっている感じがとても信用できる。楽しそう。楽曲ヴァリエーションも幅が広すぎ。音も色々使っていて、大人がおもちゃ箱をいじっていますよって感じです。ひねくれかえったボーカルがナイス。6曲目のサンダーバードは私の中の理想のポップソング。

HERON/HERON&SINGLE(紙ジャケ)
ブリティッシュフォークの大御所なんでしょうか。2枚出た紙ジャケの方の1枚です。70年に出た1stアルバムの方。草原でのライヴ録音ということもあって小鳥の声とか入っててのどかです。取りあえず聴けば分かる。聴けば分かるこの凄さ。最高です。声も最高だけど牧歌的で美しすぎるメロディー。「YELLOW ROSE」なんて今年の1曲って言っても過言じゃないです。このハーモニーコーラスの美しさ、アコースティックギターの音の美しさ、メロディーの柔らかさ、切ない音など、そんな暖かさや穏やかさの詰まった空気が全てです。美しすぎて泣ける。ボブディランみたいなアメリカ型フォークじゃない。「田園」って感じのフォーク。とにかく「Harlequin2」の爽快さに乾杯。

blue ashとかゆら帝とか、抜き出し漏れがいっぱいあるなぁ。あー、ヤングマーブルもだ。エリオットスミスもだ。ボアもモーサムもだなぁ。と言う事で以下5点。抜き出し漏れということで次点な感じの番外編。

Blue Ash/Around...Again: A Collection Of Rarities From The Vault 1972-79
ラズベリーズと同期?オハイオパワーポップバンドの音源集です。この頃のアメリパワーポップなだけに音は王道ロックンロールでちょっとハードで大げさな感じなんですが、矢張りメロディーはキャッチーで素晴らしいです。あぁ初期のパワーポップだなという感じ。全然なよなよしてない。「Abracadabra」は勿論収録されています。しかも1曲目に。このバンドは結構切ない哀愁メロディーみたいなのも多いんで、そういう曲とロックでパワフルな曲とのギャップが面白い。王道モノロックが好きな人は聴いておいて損はないと思います。パワポっていうか、「キャッチーなロック」かな(笑)

Elliott Smith/From a Basement on the Hill
夭折したエリオットスミスの遺作です。この作品を作ってる最中に亡くなったんですよね。良くない事だとは思うけど、どうしてもこれを聴いているときは思い入れしてしまう。Eitherのジャケット写真の彼を思い出す。少しだけ顔を上げた写真を見て「エリオットスミスらしいな」と思うんだ、いつも。和音のハーモニー。内省的で、けども美しいメロディー。抜群のソングライティング力。疲れてないけど元気でもない。寂しいのに優しい音だった。フジロックで初めて見たとき笑っていたんで嬉しくなったんだよな。そんなことを思いながら聴いている。

YOUNG MARBLE GIANTS/LIVE AT THE HURRAH
ニューウェーブ/ポストパンクバンド、ヤングマーブルのライブ音源。DVDも出てるんだけど、ま、敢えてCDで。ベルセバもカバーしていたんでご存知の方も多いんでしょう。スカスカな音にミニマルフレーズ、加えてアリソン・スタットンの朴訥な歌声。ライブはどんな感じなんだろうと思いきやこのまんまだった。演奏大した事ないのにここまでかっこいい、ここまで魅力的なのはなんでなんだろうと思っていたんですが。静かに底に流れている鋭さかな。実は鋭いよね。めちゃめちゃかっこいい。つーかライブ盤ばっかだなぁ。

Devendra Banhart/Rejoicing in the Hands
今年の不意打ちな感じの裏アルバム。ディベンドラバンハート。USインディー。というかシンガーソングライターなんですけども。なんだこれっていうやばさがある。アシッドでサイケでチープでたまに暗くてあやしい。ぶっ壊れた世界観とか音が好きな人にはたまらないと思いますよ。不穏なドリーミーさが好きだという病んだ人にもお勧め。これは来るね。絶対来年来るよ。健康的なものも好きだけど私は病んでる感じのとかアシッドっぽいおかしい作品も好きだからこれもランクイン!

MO'SOME TONEBENDER/THE STORIES OF ADVENTURE
ラストはモーサム。ライブが凄すぎたモーサムだけどこのCDもホントにいい。色々な事をやりつつもばらばらにはならないところがいい。一つ一つの曲が浮いていないし。そして何より演奏がかっこよすぎるんで。暴力性やナイーブさ、朴訥さや穏やかさ、狂気や鋭さと言った色々な側面をきちっと垣間見せてくれる。このアルバムはなんとなく心地いいけどたまに不穏さやキモチノワルサを感じてしまう。そんな部分がかなり中毒性を持っていてはまってしまいました。そして何よりポップ。凄い。

どれもお勧めです。

[LIVE]そんでもって今年行ったライブなんですけども。正直あんまり行ってないから選びようがないけども。選ぶならばこの5つ。

・MO'SOME TONEBENDER@12/2:渋谷AX
・moe@8/1:FIELD OF HEAVEN(FUJI ROCK FESTIVAL)
nil@5/12:水戸ライトハウス
渋さ知らズオーケストラ@8/14:MOON CIRCUS(RISING SUN ROCK FESTIVAL)
nil@7/24:恵比寿LIQUID ROOM
なんでnilが2つあるんですかと問われたならば。「うるさいですよおだまりなさい」と言う感じです。いや、嘘ですすいません。ただ単に見てる回数がダントツである上にこの2つはどっちもはずしたくないなぁという感じだったんで入れちゃいました。つーかフェスを入れんなって感じですよね。そんな自分の姑息さに泣けます。でもフェスは何でかライブ楽しさ5割増しなんでしょうがないです。飯と酒の上手さは8割増しです。ラブアフェア(by向井)率は4割増しくらいかなぁ。今年あんまライブ行ってないから来年は月4回くらい行けるようになればいいな。無理っぽいが。
nilは20本近く行った気がする。・・・うわ、なんかやばいな。数える気になりません。リバティーンズ単独とかNRBQも良かったよ。なんか邦楽多いね。別にいいけど。だって海外アーティストはチケ高すぎ。

[ニューカマー]

thebrotherkite(US)
RADIO DEPT(Sweden)
battles(US)

あ、あとこの流れで言っていいものなのか分かりませんが邦楽ならサンボマスター!!サンボえがったー。ばりばりえがった。今一番ライブが見たい感じです。毎日は聞きたくないですがたまに聞きたくなる。
そしてやっぱり一番上がダントツなわけです。今年はukバンド大活躍だねって言う割には特出して「キター」ってバンドがなかったのは何故なんだろう…。ドッグスとかEARLIESとかデルガドスとか良かったけど。どれもこれも地味だね、なんか。スリルズなんて最早USバンドでいいよって感じだもんね。うん。しかもデルガドスもスリルズもニューじゃないっていう。
ちなみにラディオデプトはシューゲイザーギターポップという感じの音のバンドです。battlesは言わずと知れたポストロック。

[理屈はいりません]読んで字の如し。
今年私の中で一番輝いたライブをしていたのは赤犬。一番よく買い物したのはワルシャワ。一番いい買い物をしたなと思ったのはiPOD。一番感動したのはピクシーズ。懐かしかったのがslowdiveのベスト盤。ブーム再考シューゲイザー。一番かっこよかったのは樫本博之(nil
でもやっぱ一番驚きとか感動とかきらめきとかがあったのはブラザーカイトだから、今年の心奪われ大賞は「the brothekite」だな。別の意味で心奪われ大賞は樫本さんなんだけど(笑)。聞いてる回数ならnilより多かったはずだ、ブラザーカイトは。