『Unchain my Heart』(Ray Charles)-心の鎖を解き放つ

SOUL FLOWER UNION / UNCHAIN
もう5年前の作品なのか。と言うことはどんと氏が死んだのは5年前なんだなと思った。この歌詞カードの最後には「このアルバムをすべての解き放たれるべき魂達と、どんと、カーティス・メイフィールドに捧げます。」と書いてある。1曲目には「Curtis Mayfield / PEOPLE GET REDAY」、3曲目には「ボ・ガンボス/トンネルぬけて」のカヴァーが収録されていてそのどちらも素晴らしい。2,4曲目は映画「アンチェイン」のテーマ(インスト)が、5曲目これまたカヴァーである「UNCHAIN MY HEART」(Ray Charles)という曲が収録されている。
どれもソウルフラワーユニオンらしい音。最初のカバー2曲に至っては中川さんの歌声が穏やかで優しい感じがする。アイリッシュな音が素朴で懐かしくて耳に馴染む。1曲目のアコースティックギターとから始まって穏やかに進む曲も本当に、凄くいいと思うけども。2,4曲目のインストが本当に素晴らしい。アコーディオンの音と三味線の音がどうしても色んな想像力を刺激する。自分の中の色々ものを呼び起こすような音だと思う。5曲目はソウルフラワーらしいかな、と言う感じの泥臭さとか力強さみたいなものがあって、中川さんの声も強い意志がある。
一番好きなのは3曲目。かなりSFUらしいアレンジなんだけどもさ。本当に素晴らしい。たどたどしく進んでいくような様子もアコーステイックギターの柔らかい音もオルガンやアコーディオンの懐かしい音も、どれもこれもが優しくて穏やかだ。

寒い街をぬけて でかい音で走れ
みんな退屈なんだよ いつもいつも
「トンネルぬけて」

もうすぐ3月になって冬も終わるんだけど、こういう気持ちがとても分かる気がする。最後の曲以外穏やかな流れが続いているんだけども、最後の曲は前へ進んでいこうとする決意が感じられる曲で、音や雰囲気もそういう感じだ。解き放たれるべき魂への優しさと、そこに進もうとする決意。そういうのが感じられる作品で、これはとてもいい作品なんで是非聴いてほしいなと思います。