やっと言えた言葉

LOST IN TIME / きのうのこと
私はロストをなめていたよ。LOST IN TIMEの去年6月に出た2ndアルバムをやっと聴いた。めちゃめちゃいいな。ホントに。ギターの人が変わってやっぱり音も変化したけれど。ロスト凄いわ。ぼーっと考え事している時に聴いてるといつの間にか入り込まされている自分に気付く。エモなんだけどね。イースタンユースみたいな感じの。あれをもう少しギターロック寄りにした感じだ。少ししゃがれた海北君の声がとてもいい。傷を抉られたかのような生々しい歌い方をする人なのだ。メロディーも聴きやすくて全体的に乾いた哀愁がある。1stは物凄く閉じてて入り込めない絶望感満載だったのに2ndは違うね。音も1stは勢いとか疾走感あったけれど2ndは少し落ち着いた。ピアノが印象的なバラードなどもあるし。昔からのファンの人がどう思うのかはちょっと分からないんですが。榎本さんのギターが結構目立っているので1stほどベースが凄い前に出てるっていう感じもしなかったです。私はこのバランス好きだな。良い感じです。
けどまぁそんなことはね。どうでもいいんですよ(サンボマスター
やっぱりこれは多くの人に聴いてほしいなと思うのですよ。まだ人生じたばたしている人とかいちいち世界に傷ついてしまう人とか。夜に膝を抱えてしまう人とか、不器用な人や、何度傷ついても相変わらず人が好きだとか言ってるような人。そういう人がこのアルバム聴けばいいなぁと思った。やっぱそれだけでいいよ。多くの人ってよりもそういう人に聴いて欲しいなってだけかも。それでいいと思う。良くないか。ごめん。
海北君は特別なことを歌っているわけじゃない。「もっと正直に話せたらなあ」と、誰もが普通に思うことを歌っているだけなんだと思う。「気がつくのは いつだってそうさ 何かを無くした あとなんだ」と当たり前のことに気付くだけだ。自分に嘘を吐いたり本当の言葉を飲み込んだり空の青さに気がついたり絶望を願ったり泣いたり誰かを想ったりするんだろう。みんなと同じだ。君を失った世界で前に行こうとするのだ。
ロストインタイムが鳴らす音はそのまんまだと思う。傷ついても悲しんでも落ち込んでも失っても。そのまんま鳴らすから正直胸が痛い。
だけどもそのまんまだからこそ、「ああ 僕は歩く ただ がむしゃらに 今 すぐ傍にいてくれる全ての物語と」という言葉、音に感動するんだろう。これは一曲目の「ヒカリ」という曲の歌詞なんだけども、1曲目にこの言葉があるっていうのが感動もんですよ。しかもこの曲が吹っ切れたような前を向いたような、そんな曲だから余計に。全曲聞いた後リピートでこの曲に戻ると正直泣きそうになる。
あの時言えなかった言葉。やっと言えた言葉。
あの時の後悔とこれからの決意に満ちた作品だと思う。