"My Bloody Valentine / Tremolo"(1991)

Tremolo

Tremolo

Gliderと並んで、傑作「Loveless」へと続いていく4曲入りEP。「Loveless」に収録されている名曲"To Here Knows When"を始め、甘くて冷めたボーカルと民族風の音が気持ちよい"swallow"、歪んだ音と浮遊感のバランスが素晴らしく、マイブラらしいポップさがある"honey power"、空間を曲げたような音に、語りかけるようなKevinの声が降り注ぐ"moon song"など、1曲1曲の完成度、その世界観に驚かされる。
"To Here Knows When"は「冷たいサイケデリア」という感じがする。冷たい光。壊れかけの世界。美しい世界が崩れ去る5秒前のようなアンビバレンツな音。浮遊感がありすぎてどこにいるのか分からなくなるような感覚。このジャケットのような冷たい美しさ。彼岸。
彼らが次のアルバムタイトルを「Loveless」にした理由が分かる気がする。感情を押し殺しているはずなのに音の隙間から漏れてくる「何か」。マイブラのギターノイズの中にある静寂、美しさ、ポップさを味わうのに絶好の1枚。比較的手に入れやすいシングルです。