冬の夜

Innocence & Despair

Innocence & Despair

最近夜になると聴いている作品。
これはベルベット・イースターのJohn君が以前に薦めていたものです。ソフトロックなのかね。
60人の子供たちが(解説だと"untrained"ということなので本当に普通の子供たちなんだろうね)歌い、演奏する名曲の数々。1976年〜77年にカナダでレコーディングされたもの。ビーチボーイズやポールマッカートニー、デビッドボウイやキャロルキング、フィルスペクターの名曲たちが一生懸命に歌われている。
一生懸命に合唱し、頑張ってギターを弾いて音を鳴らしていく過程がとても素敵だし、それ以上に本当に素晴らしい音楽をやってくれているのだ。歌うことの楽しさや子供たちの無邪気さ、子供特有の歌声のきれいさ、ハーモニーには鳥肌が立つ。
原曲の素晴らしさもあるし、何よりこの作品の空気、というか何て言うか。「ワンダフル!」って言いたくなるような魔法の瞬間、音楽の奇跡が降り注いだみたいな空気が宿っていると思う。
The Long and Winding Road」を歌った少女。そのぎこちなさと美しさと無垢な歌声を聴いた時、思わず泣きそうになった。「Saturdy Night」の元気有り余る子供たちの楽しそうな声。EAGLESの名曲を静かに歌う少女。子供が歌ってるはずなのに物凄く切ない。あんまり上手くないピアノの伴奏もいい。
たくさんの奇跡が宿っていて、素晴らしすぎる作品。今から30年も前の作品なのに。全然古臭くない。
これを聴いているとずっと音楽を聴いてきた中で忘れていたものに気付かされる。失ってしまったものに気付かされる。


この作品に幸せが降り注ぎますように。
そう思えてしまう。
そこに祝福がありますように。もう手を伸ばせないものだとしても。