今、最も一緒に音楽の話をしたい少年・崎山蒼志

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こんばんは!
今日は最近見ている『The Looming Tower』という911を題材にした海外ドラマを紹介しようと思っていたのですが、たまたまYouTubeのおすすめ動画に出ていた崎山蒼志くんにノックアウトされてしまったのでそっちを紹介したいです。

 


崎山蒼志「五月雨」(MV)


これ、前評判とか一切無しで生で見ていた人は鳥肌モノだったのではないだろうか。
この番組放送後、彼を紹介するツイートがあっという間に拡散10万超え。上記の動画も再生数がうなぎ上りで、昨日とかまだ150万ちょいだったのに今見たら177万回に増えていた……。ゲスの極み川谷さんに「プロデュースしたい」とツイートされ、くるり岸田くんに「右手最高」とツイートされ、スカート澤部さんを唸らせた男。崎山くん恐るべし。
動画を見れば分かると思うが崎山くんはまだ15歳である。
眼鏡に学ランかつ自転車に乗れなかったというエピソードで地味&冴えない男子を演出(※きっと意図的だと思う)してからの脳汁どばどばギターカッテイングに鼻血出そうになった人が多いのではw 「15歳だし、鬱屈系だのキラキラ系だの、とにかく青春ぽい歌詞なんだろうなぁ〜」という大多数の予想を蹴散らすが如く裏切っていく、いぶし銀の老獪感。「裸足のまま、来てしまったようだ/東から走る魔法の夜」て!!(笑) 冒頭の歌詞とメロディーラインで既に確立した世界観がある。
ほんとに15歳なのかよ!!とツッコみたくもなるのだが、でもこの歌声の不安定な感じや、「青春系だねぇ」なんて言葉では括れない生々しい刹那の描写は紛れもなく中学生の彼にしか作れないものなのだと思う。だって

素晴らしき日々の途中 こびりつく不安定な夜に/全ての声の針を静かに泪で濡らすように」
「意味のない僕らの 救えないほどの傷から/泪のあとから 悪い言葉で震える」
「黒くて静かななにげない会話に刺されて今は/痛いよ あなたが針に見えてしまって」

ですよ!!!! 蒼すぎる。名前通りに蒼すぎる。その蒼さを表現するのがこの言葉ですよ。もうどんな本とか映画読んだり見たりしたら中学生でこんな歌詞書けるのだろう。動画で言っていましたがこの曲は13歳で書いたものらしい。才能の塊すぎやしませんか。
皆さん13歳のとき、何してました?
わたしは無事に厨二病を発症し、休み時間に落合信彦読んでました。
 
 
 


KIDS'A キッズエー 崎山蒼志(13歳) 弾き語り 『samidare~五月雨~』 オリジナル曲 in キタラ 浜松駅


こっちが13歳のときに『samidare~五月雨~』を歌ったものですが、これ、作曲時は声変わりしていなかったんだねぇ。少年特有のナイーブな響きがあるんだけど、同時に生の生々しさを感じさせる辺り、なんとなく七尾旅人くんを思い出してしまった……。でも現在の変声期で歌声が不安定ぽい感じも、それはそれですごく味になっていると思う。文字通りに崎山くんの「今」を切り取っているというか。
色々な音楽を通って来ているのだろうとは思うんだけど、「◯◯ぽい」と一言で済ませたくはないのは、きっと彼が15歳にして彼自身の音楽を作り上げてしまっている(もちろん完成形ではないけど)からなのだろう。思えばくるり中村一義七尾旅人ナンバーガール銀杏BOYZもブッチャーズも、デビュー当時から世界観が出来上がっている感じだったもんなぁ。
 
 
みんな大好き松本大洋先生のTシャツ着ていたし、AKIRA読んだってツイートもしていたし、崎山くんは良い意味でサブカル男子なんやろうなぁと思う。他人にマウント取るためにマイナーな知識漁っていくクソサブカルじゃなくて、「この曲最高! あのバンドもいい! あの作品から辿ったこのアルバムもいい! あの作品って何に影響されてるんだろう? あああの映画なのか〜!」ってどんどん新しい作品に出会いたい欲求が膨らんでいき、素晴らしい作品に出会うたびに嬉しさで興奮してしまうような、そういう普通のサブカル男子なのではあるまいか。音楽や小説や映画や漫画やアニメが大好きで大好きでたまらなくなったとき、誰だってそうなるやん。ティーンの頃なら尚更そうだよ。
TwitterYouTubeのコメントか忘れたけど、「どういう生き方したら中学生でスカートに出会うんだ」って書いてあって、心から同意ですよ。わたしがスカートの音楽に出会ったのなんてレコ屋バイトしてたときですよ。崎山くんはMステのCHAIも褒めてたし、ギターマガジン読んでジミヘンハマったともツイートしてたし、ceroのツアー告知に興奮してたし、MGMTやKing Kruleやヒョゴにわーっとなる辺り、きっと新旧・ジャンル問わず全ての音楽を吸収しようとしているのだろう。その貪欲さが素直に愛おしい。柔軟に吸い取りまくって、このまま怪物に育って欲しい。
正直、ここ数年邦楽に一切の興味が持てず、ごく一部のアーティスト以外追っかけていなかったのだが、崎山くんとか、国府達矢さんとか、NAHAVANDにガツンとやられてしまい、とても嬉しい。国府さんの『ロックブッダ』はほんとガツンとくるので、Spotify購読してる皆様、是非とも聴いてみてくださいな。
 
 
あと、どうでもいいけど崎山くんのバンド名「KID'S A」はやはりレディオヘッドの「KID A」から取っているだろうか。気になる。てか崎山くんと一晩ずっと音楽の話をしたい。「あれ聴いた? へぇーこれすげぇかっこええなぁ!」って、学生の時みたいに、だらだら音楽の話をしたい。