bonobos / THANK YOU FOR THE MUSIC

ASIN:B0007XOG82
周りの人の評判も凄くよくて、私がいつも拝見させていただいてるサイトの方々も買ってる人が多かった新生bonobosの第1弾シングル。
これが本当に素晴らしいです。私はBARKSでPVのフル視聴をして、「これは絶対に買うんだ」と心に決めました。
分かりやすいように暴論で行きましょう。みんなの想像するロック、ギターロックやパンクというものが50メートルを全力疾走したような気持ちよさや楽しさだったとしたならば、この曲は50メートルを軽やかに歩いていくような曲だ。
しっかりと地面を踏みしめながら一歩一歩歩いていくような音。Fatboy Slimの曲を聴いたときみたいに、どんどん地面を踏みしめたくなる感覚に近いもかもしれない。
この曲で一番「おっ」と思ってしまうところはまずリズムだろうなと思います。特徴的なドラムの音(Dragon Ashの「陽はまたのぼりくりかえす」の最初みたいな感じで)。力強くて、なんかこう、「嬉しいぜー!」って感じの前向きな鳴り方だ。それが曲の1シーン1シーンをとても印象的に刻み込んでいく。そこに入ってくる透明で柔らかなボーカル。優しい音。パーカッシブな音。キャッチーなメロディー。相変わらずそこに宿る穏やかな空気がbonobosらしいなと思う。平熱なのに嬉しい。そんな感じの音。
それにしても本当に軽やかに跳ねているリズムだ。ただ歩いているんじゃなくて跳ねているんです。前向きなバイブ。無理のないファンクネス。レゲエやダブ、ブラジルなどの音楽が基盤にあるんだからそりゃーグルーブはあるだろうと思ってしまうかもしれませんが、この曲の無理のなさ、さりげなさは本当に素敵です。3曲目のリミックスもとても最高。低音とリズムが強調されていて、リズムだけでも泣けてしまう。広がっていく音響処理といい暖かくて切ないアコーステイックな音といい、THANK YOU FOR THE MUSICを繰り返すボーカルといい、静かで寂しげなのにピース。音の響きが消える瞬間に何かを祈りたくなる。
「THANK YOU FOR THE MUSIC」
祝福のリズム。祝福の音。こんな言葉をさらりと言えてしまう。こんな音楽をさらりとやれてしまう。そこに無理がないのはこういう感情や音が身近なものとして、溶け込んでいるからなんだろうな。鳴らされている音が本当にタイトル通り。また、タイトルも本当に的確に音を表している。こんなテーマの曲なのに、大仰にもなりすぎず、かと言って真面目すぎでもない。正に「世界はそう僕らのものなのさ」と歌ったbonobosらしいなと思って嬉しい。