黙黙

スピッツ/名前をつけてやる
91年に発表されたスピッツの2ndアルバム。これをスピッツのベストに押す人も多い。私は「空の飛び方」か「ハチミツ」かこれ。音がゴリゴリしていて好きなのは「フェイクファー」。この人を食ったアルバムタイトルとでーんと構えたジャケット写真。超いかす。
ロックな衝動と大人の童心があちこちで弾けていていい。「名前をつけてやる」のギターリフがいい。ざっくりしていてかっこいい。「日曜日」の演奏もロックでいい。繊細とか詩人とかミルクティーっていうイメージも強いけれどこのアルバムはそれ以上になんかが炸裂してる。
「ウサギのバイク」のきらきらなメロと音。「ミーコとギター」の歌詞の切なさ。だって七尾君も触れていたけど<ミーコの彼はミーコの彼じゃない>んです。切なさ全開。そんな強くて儚い声のミーコが歌う恋の歌。聴いてみたい。どうして草野正宗は人の空想力を掻き立てる言葉遣いをするんだ。
「胸に咲いた黄色い花」のきゅんとするメロディーとサビ。男の子の弱さ。「待ちあわせ」の勢い。どれもこれもいい。
けども「恋のうた」は名曲だ。誰がなんと言おうと。恋をすると人は変態になっていくのだ。加速度的に人はおかしくなる。そんな心理をついている。へろへろな曲に乗せて「(君に出会えたことを)僕がこの世に生まれてきたわけにしたいから」と歌うんだけどもこの部分だけで素晴らしいと思う。馬鹿だけども大切なことを歌ってて好きだ。
魔女旅に出る」はタイトルだけでOK。風の強い夜に知らない町へ出発したあの女の子を思い出して超泣ける。
クリスピーも好きだしインディゴも好きだし、なんだかんだでスピッツは全部好きだと思う。

ZEPPET STORE / CUE
もう何度聴いたか分からないくらいに一時期めちゃめちゃ聞きまくっていた1枚。ゼペットストアの2nd?いや、メジャーとしては1stか。97年に出たやつ。もーうね、これはね、高校生のときに発売日前日にCD屋に走ってソッコーで手に入れた記憶がある。そして超聴いてた。
ゼペットストアは96年にインディーで出してた「716」っていうアルバムがアメリカの西海岸のラジオでヘビーローテーションだってので当時凄く騒がれていた。「716」が欲しかったんだけども近所のCD屋にもタワレコにもおいてなくてめげまくってた。けどもメジャーになってからのシングルは全部買ってた。
なんかこの王道ギターロックってのが当時の私にはガツンと来た。きらきらとしていてでもヘヴィな部分、優しい声も少し舌足らずな歌い方も凄く好きだった。何より日本語なのも当時の自分としては良かった。
音は王道のギターロックサウンド。アコースティックなものもありミドルテンポのものもありって感じで。ZEPPETはスローな曲もしっかり作ってあるので好き。「A LITTE FLOWER」とかそんな感じ。泣きツボを抑えている。
「BLUE」「TO BE FREE」「TO MY FUTURE」みたいにきらめき疾走チューンもあるし「SUPERSTITION」みたいにスローで音が重い感じの曲もある。一番好きなのは「声」だ。1stシングル。これ聴いたときにびっくりした。シューゲイザー。この1曲は私の中ではシューゲイザー。重くてヘヴィなギター。抑揚を抑えたボーカル。それに反する甘いメロディーが感動もの。とにかく音もメロディーも声も歌詞の内容もどれもこれもが最高の一曲。正に「きれいな轟音」。切ない。着実に歩いているみたいなリズムもどれもこれもが泣ける。
今聞き返すとシューっぽい部分が結構ある。メロディーのキャッチーさ。音の重さ。甘くて抑揚ないボーカル。とにかくギターの音がいい。私が90年代、主に学生時代に夢中になって聞いていた音をぶっこんだようなアルバムだなと今思いました。

Low Skies / I Have Been to Beautiful Places
シカゴのFlameshovelというレーベルから去年出た5人組バンドの1stアルバム。このレーベルからはMake Believe(ex-Tim Kinsella:Joan Of Arc)が出したりしている。ま、インディーモノ。単刀直入に、分かりやすく言うとすんごいRADIOHEADっぽい。「KID A」以降のレディへの香りがする。声が似ているってのもあるけど。全体的に変拍子とか多くてスロウコアな感じ。メランコリックなボーカル(すんげぇトムヨークに似ている)とかデュアルギターからして、作られたっぽい悲壮な世界観、終末観みたいなのが漂ってくる。シンセの使い方とかも大げさで凄い。けど何よりメロディーのダイナミックさがトムヨークだ・・・。
これは最近のレディオヘッドが好きな人ははまるだろうなって感じ。
私はあんまり好きじゃないので買って暫く放置していて今聴いてる。

V.A. / Pacific Union
日米シューゲイザーコンピ。発売は2003年。あぁもちろんって感じでアメリカのclairecordsより発売。vinyl junkieとの共同企画で、MONSTER MOVIE, AIRIEL, SILVER SCREEN, PAIK, PARK AVENUE MUSIC、CRUYFF IN THE BEDROOM, APPLE-CIDER, SUGARCOAT, JOHN JUHL'S CORNFIELD, SLOW, WALRUS、そしてSCIFLYERにHARTFIELDっていう面子。ギターポップ風味のものや打ち込み主体のもの、ディストーション雨あられのものや、そのまんまマイブラ風味のものやかなり歪んだハードめサウンドなど様々。
一番いいのはHARTFIELD。ダントツ。気だるくて甘い男女ボーカル。かき鳴らされるきらきらした音。疾走感。ポップで爽やかなメロディー。こういうのは問答無用でいいよね。
あとはMONSTER MOVIEかな。元slowdive。「sweet indie rock」ってタイトル。絶妙。イントロのシンセもやばいしそこからいきなりピアノオンリーなのもやばいし憂いのあるボーカルもやばい。ビター。
私の中でシューゲイザーって、降り注ぐようなギターとか壮大さとかなんか下手なところとか静かさとうるささの同居とか音圧とか延々鳴っているかのような弾きっぷりとかが好きなんだろうなーと実感する。それがあればいいやって思えてしまうくらいだ。
ふとWALRUSの名前を見かけて嬉しくなった。