絶望を超えたところに歓喜はある(「COMPOSER」)

Coachellaのライブの様子がYouTubeで放送されていて、3日ほどそれに釘付けだった。いい雰囲気だったなぁ。フェスに行きたくなってしまった。だって、お祭りですもんねぇ。あんなに心がワクワクするものはないですよ。きっと本当に好きなバンドだったら単独ライブに行った方が満足できるし、あくまでフェスのパフォーマンスは一見さん向け的なものが多いんだろう。けれどそれを踏まえても、たくさんの音楽に出会えるという歓びは何ものにも代えがたいものであるなぁと思います。フェスに行ったからってピースな気持ちになれるほど明るい人間ではないのですが(いや、むしろ私は常にフラットな平和主義者なのである)、あの場は音の高揚感に満ちていて、それが好きで足を運びたくなってしまうのだろうな。たくさん感じて色々なことを考えることが出来るから。シンプルに物事を突き詰められる気がするのだ。
The Arcade Fireがいつの間にか力強いバンドになっていて驚き。1stを聞いた頃は「好きだけど、まぁ00年代らしい感じ」という印象だったのに、いつの間にかグラミー賞取ってあんな骨太ライブするようになったんですねぇ。トリだもの。夜空が似合うなぁという至福感でしたので、いつか日本のフェスで見たいな。そして彼らより更に地に足をつけた感じでしっかりとかっこいい音を出してたThe Nationalも素晴らしかったです。とにかく声が渋い。個人的ハイライトは2日目に時間が被っていたドイツの人力ミニマルBrandt Brauer FrickとNYCのジプシーパンクGogol Bordelloでした。片やネクタイまできっちり締めたブラックのシャツ姿のお兄さんが淡々とパフォーマンス、片やイエッサばりの長髪の人が上半身裸でステージを駆け巡るという野生っぷりだったのですが、どっちも気持ちよく踊っているお客さんが印象的でした。



さて、以前に予告していた通り、ようやくTEAM NACSの過去公演を見終わりました。長かった…。
96年のLETTERから始まり、
97年のRECOVER
98年のFEVER
98年の再演DOOR
99年のESCAPER
00年のFOUR
01年のLOVER
02年のWAR
03年のミハルと、ひたすら見続けておりました。
04年のLOOSER
05年のCOMPOSER
07年のHONOR
09年下荒井兄弟のスプリング、ハズ、カム。の4本はDVDが出ているので先に見ました。
調べたところ、本当は96年以前、94年CHAIR⇒95年DOOR⇒96年LETTERとなるらしいのですが、CHAIRとDOORに関しては映像化されてない?のかちょっと不明である…。とにかく私が見たのはLETTERからです。ただ、98年にデビューして、そこでDOORの再演をしているので実質CHAIR以外は見たのだろうか。その辺りも詳細はよく分からんです。お茶の間ファンですから、私は。
一つ前置きをしておきたいのは、私は演劇に関しては素人もいいところで、その辺のおばちゃんと変わらんよってことであります。たまーに見るけどさ、思春期の頃に一瞬演劇ぶっくとか買ってた時代もあるけどさ、別にご贔屓の劇団とかないですから。なので批評的なことも上手く書けないし、たくさん見ているわけではないから比較対象が少なすぎて何がスタンダードな演出なのか脚本なのかもいまいち分からない。だからあくまでこれは私の個人的な感想であります。いつもそうじゃんオマエ!って!!あぁそうさ!そうだよ!!悪いかよ!!と逆ギレをしたくなるくらいの、ね。

詳しいことはwikiを見て欲しいのですが、TEAM NACSとは北海道に拠点を置いた演劇ユニットであります。メンバーは森崎博之安田顕・戸次重幸・大泉洋音尾琢真の5人です。何故にここまで丁寧に解説するのかと言うと、うちのブログに来る人は浮世離れした人が比較的多いからでありますw あんまテレビ見ない人多そうだもの…。
http://ja.wikipedia.org/wiki/TEAM_NACS

一番始めに薦められて見たのがCOMPOSERだったのですが、とても面白かったのです。それが全ての始まりなのですが、なんていうか、『面白い』、その一言に尽きる感じだったのです。どうなんでしょう、音楽や漫画や映画と比べて演劇とは敷居の高いものであるのでしょうか? 先日ツイッターでMUのハセガワアユムさんが「演劇の映像」を評価として対象に入れてくれと呟いていて、「生である」というフォーマットについて凄く考えさせられたのですが、確かに演劇って見ないと始まらないんですもんね。音楽なんてCD買ってライブは行かないなんてファンは山ほどいるわけなのですが、演劇ってよっぽどメジャーにならん限りそうはいかない気がする。
で、NACSなのですが、多分、私が思う感じなのですが、大多数に、メジャーに向かってコミットしようとしている人たちなのだと思うのですね。言うなればうちのサイトで扱うような音楽の対極(ってほどではないけど、ベクトルは違う気がする)だと思っていて。例えば、全てのバンド少年はスタジアムバンドになることを望むのであろうか、というようなことかなと思う。宅録少年・部屋DJでもいいんだけど。語弊を恐れずに言うならば「君はGLAYになりたいかい?B'zになりたいかい?」という感覚かなぁと思うのです(もちろんださいとか言ってるわけじゃないですよ。言い換えれば「Mr BIGになりたいかい?BON JOVIになりたいかい?」でもいいのです)
やっぱり「うーん、どうかなぁ」っていう層は絶対にいるわけで、うちのサイトは、というか私が好むのはそういうのが多いんです。悲しからずやなんとやら。勿論狭いジャンルで考えるならさ、前述のThe Arcade Fireなんてグラミー取ったくらいだから日本でも知名度はあるんだろうし、インディーロック系好きならPainsなんて殆どの人が知ってるんだろうし、それこそJames Blakeなんて一時期いろんな方向から名前も聞いたし、演劇で例えると、私ですら大人計画とかキャラメルボックスとか新感線は知ってるけどって感じで、でもそれは恐らくサブカル文脈から得た知識だった気がする。も、そーいうのを超えたところの大多数にコミットってことだ。要はお茶の間であり、普段は音楽なんて聞かない人、演劇なんて見ないよって人だ。それを目指すってなかなか大変なことだし心意気も半端ではないと思うのですよね。ふとタトゥーがMステに出た日のミッシェルを思い出す。彼らは何を目指してたんだろうか、なんてさ(あの頃は既に解散近かったけど。それにしたってかっこ良かったですよね。痺れた)
話が逸れた。彼らを見ていて感じたのはそんな大多数へ向ける心意気であって、その面白さも嫌味がなかった。そう。言うなれば小難しいサブカル臭がなかった。「バカっぽさ」「わかりやすさ」それを逆手に取ってる気がして、「あ、いいな」と思ったのです。それが一つ。

96年からずっと見てました。LETTER〜RECOVER…長かった…。まだ大学に在籍しているメンバーも居る中での公演…凄く…荒かったです、色々とw 先日「パンクバンドの1枚目を聴いている気分だ…」と書いたのはまさにそういうことなのですが、それを超えたところにある勢いだとか展開だとか台詞がなんか良かったんですよね。言うなれば本当に原石なんだろうな。時間軸・世界があっちこっちに飛び回る上に半分くらいギャグであるというぶっ飛んだ感じなのですが、不思議と最後に言いたいことはなんか分かるという無茶苦茶な感想を抱きました…。これがまともな演劇なのかと正面から問われるならば、私にはそれに答えるほどの知識がないのですが、「…多分…(コント多くてシュールだけど)」みたいに言うんだろうかw ほんと踊るわ踊るわ無駄に踊るわぼけるわ意味の分からないコントが入るわ、人生における大事な決断シーン(普通ならシリアス)をぶち壊す内面の描き方とか「すげーな」と苦笑いをする感じなのですが、でも不思議と面白いんですよねぇ…。
98年にFEVERという作品があって、同年にプロデビューで、DOORの再演を行うのですが、初期のNACSの集大成的なものがFEVERなのかなという気がしていて、一言で言うならばNACSさん的な「FLAME VAIN」(バンプの)なのだろうと思った。NACSは殆どリーダーである森崎さんの脚本演出なのですが、此頃の話は殆どもりの私小説っていう感じで、テーマも一貫してモラトリアムの終焉に悩む青年像が書かれていた。もりーだの話は夢だとか並行世界だとかもう一人の未来の自分だとか多用される感じがするんだけど、早くもそんな感じだった。昔からだったんだなぁ。特徴的なのは、必ず劇の中に出てくるのはもう一つの彼らなのだ。LOOSERまで出てましたもんね。劇の中にそのまんまの5人が出て来て、大体演劇続けようか悩んでいるという等身大っぷり。モラトリアムから抜け出す際の自分への期待や失望、そういう普遍なテーマを扱うと大体似た感じに陥りそうなのに、あのぶっ飛んた世界観に持ってくのはすごいw それはやっぱり5人の個性が強すぎるのだと思う。だって面白いんだもの…。安田さんとか100%の確率で脱いでいるんだもの…下着一枚なんだもの…。洋さんの口の面白さは言わずもがな、音尾さんのゲイキャラバカキャラといい、段々登場が派手になって行くリーダーといい、シゲさんのドラえもんといいあれは5人が面白すぎて狡い。
そして何より狡いのは彼らが一番楽しそうなことであり、それを見ているお客さんもまた楽しそうだってことだ。昔からそういう場が作れる人たちだったんだなと納得してしまう。彼らが楽しそうであり、とにかく楽しませようとするのが心から伝わってくる、それが一つ。

98年でデビューして再演DOORなんですけど、やっぱりアマからプロへってことで少しクオリティアップな気がしたな。雰囲気が違うというか。相変わらず勢いで進んでるけど、しげさんが光っていた…。病んだ演技や壊れた人の演技が秀逸な原型が出来上がっていた気がする。もりーだの大振りな感じとか洋さんの器用な感じは割と昔から変わらずにあるんだなと思うんだけど、シゲさん音尾さんケンさんは多方面に伸びてるのがよく分かる気がしました。シゲさん良かったわー。
先日「けいおん」「リンダリンダリンダ」の大学演劇版であると書きましたが、それは彼らが北海学園大学の演劇研究会から始まっているということからで、みんなど素人だったらしい。当初から自分たちの世界に閉じこもることはせずにひたすら「より多くの人に見てもらおう」と動員を意識していたみたいだからそれらほど無邪気ではなかったのかもしれないけど。でも一生懸命で、なんかキラキラしていて、未熟で粗い部分もいっぱいあるんだけど、着々と成長してて、そういうのにぐっと来てしまう。
DOORはLETTERの前の作品だからやっぱり私小説的路線であり、位置づけ的にはアマチュア時代のモラトリアム路線に含まれてしまうと思うのだけど、その次のESCAPER〜FOUR〜LOVER〜WAR〜ミハル〜LOOSERの辺りはNACSとしての屋台骨期間なのかなと思った。ESCAPERで初の物語ものに挑戦したり、FOURでもり以外の4人が演出脚本やったり、LOVERでラブストーリーやってみたり、WARで度派手なボーイズものやってみたり、ミハルでシゲさんが脚本演出したり、と色々NACSなりの形を作ろうとしてるのかなと思って、その行き着く先が見事東京公演も行ったLOOSERなのだろうか。あれでNACSとしての形はある程度作られたのかなーという。で、それを突き詰めて全国公演っていうレベルまで完成度高めたのがCOMPOSERなんだろう。そんな気がする。LOOSER以降のCOMPOSER〜HONOR〜下荒井はやっぱ頭ひとつ抜けてる気がするんだよなー今までのと比べても。それはLOOSERっていういい形での集大成があって、その上に成り立っている気がする。COMPOSERはほんとにいい意味での気合が感じられて好きだ。洋さんがよく言う「お客さんが求めているNACS」っていうのもちゃんと形を作らないと分からないものだと思うしね。いい歩き方をしてきたんだなーと何故だか微笑ましく見守ってしまう自分がいた。そんな風に彼らの歩んできた軌跡や成長を喜べてしまうのが魅力である気がするのです。それが一つ。

あとはもう、ミーハー的な意味で。嵐もそうだけど、グループ内できゃっきゃしてるの可愛いんだよう。仲が良いのがいいな。バラエティーどんとこいな気構えも最高だと思うw 色々やってるのに最後には北海道へ戻って行く地元感や、CD出しても連ドラ出ても映画出ても札幌ドーム埋めても、どこかに漂う庶民感などが魅力なんだろう。

以下、ちっちゃく感想

96年解散公演:LETTER〜変わり続けるベクトルの障壁〜
なくすさん的エヴァンゲリオン。時期もぴったり!モラトリアムの果ての自己否定からそれを肯定するまでを描いてるんだけど、半分コントである…。主役はやすけんで、酒に飲まれる度にキーとなる誰かからの手紙&分裂してしまった自分自身が交錯していく展開なのですが、あっちこっちに時間も世界も飛ぶので分かり難いwwただひたすらに勢いで進んでいくシュールな自分探しの旅である…。最後に分裂した自己に祝福される展開なんかはエヴァだよなー。っていうか全体的に90年代ってそういう空気が漂ってた気もするな。セカイ系の走りとでも言うべきか。とにかく出演してるのもあの5人でひたすらにもりの私小説全開であった。まぁだからこそこの年代の人が見たらまた違った感想を抱くんだろうな。

97年復活公演:RECOVER〜描き続けるもう一つの結論〜
自己探し系な前回でしたが、今度は20代前半の子の未来への不安がテーマな感じでしょうか。モラトリアムの終焉を前に誰しもが抱く悩みを、卒業したけど芝居は続けていたやすけん&芝居はやめて東京で就職したシゲさんという対比で描いている。もり自身が一回東京で就職して、だけど辞めて北海道戻って芝居を続けたそうなので、まさにこれも私小説であったw LETTERがどうしても受け入れられない、拒否した自分というのがキーなんだけど、こっちは無条件に今の自分を認めてくれる彼女の存在がキーなのかな、多分。それは裏を返せばシゲから見たやすけんへのコンプレックス(やすけんからシゲへのコンプレックス)であるわけなのです。で、現状を打ち破るには、というか本当にしたいこと(=芝居)をするにはその現状を受け入れてくれる存在から離れなければならなくて、っていう話なのかな(自信ない)LETTERの祝福のシーンと、RECOVERで彼女と別れるシーンが対になっているのだと思う。
なんかもうLETTERから続いているコントがあってふいたw 此頃から大泉さんの存在が秀逸である…。山吹色と聞いただけで笑ってしまうよ狡い!!でもこれもまたごちゃごちゃしていて分かり難い話であった…。

98年卒業公演:FEVER〜眺め続けた展望の行方〜
ここでようやく5人だけの舞台という今のNACSさん定番ぽい形になった。そしてデビュー前の初期NACS完成形な気がしている。今度は音尾さんが主役なのかな?今まではモラトリアムを前に不安を抱いていた青年像だったんだけど、今度は演劇の方向に一歩を踏み出した音尾さんの回想録っぽい話であって、最終的にはその背を押すような前向きな終わりでした。5人だけというシンプルな構成なのと、幼稚園&小学校&中学校&高校と分かりやすく時間経過が描かれていたからなのか、まとまってて良かった気がする。幼稚園の頃に描いていた天衣無縫な夢や光景、小学生の頃の無邪気さや親に決められてしまった夢だとか、中学校の過剰な自意識や現実にぶつかって小さくなっていく夢だとか、高校時代の女の子の事しか考えられなかった事とか、まあ、ありがちな平凡な過程が過ぎていく。けどそれぞれ最後にFEVERタイムがあるのがいいと思うw リーダーの派手めな音使いとか演出っぽいのが合ってた気がするんだー。ものっそい踊ってるしな初期のナックスさんww そして、途中の「僕はいまだここに立ち ひとり汗をかいている」っていう台詞が良かったと思うのだ。きっとこれもまた演劇という道を決めた自分(達)に対する話だと思うんだけど、前の向き方が他のと違う気がしたな。今までのはふらふらしてた自己を捕まえる感じでしたが、これはもう心を決めてたからなのかな。そんな決意が見える良い話でした。
でもまだ遊びのコーナーでやんちゃしまくり(やすけんのうんこラップ)&勢い尽くしで凄かったですw

98年デビュー公演:再演DOOR〜在り続けるためのプロセス〜
こっからプロです。なんかプロへの気構えが見た気がするそんな気がした作品ですが、位置づけ的にはLETTERの前っていう不思議な感じの作品でした。でもLETTER〜FEVERとはまた少し違う気がする本当に不思議な…。交通事故で精神崩壊してるっぽい5人の群像?オムニバス?的な話なのですが、もりの脚本ぽく話があっちこっちに展開するので結構ややこしかった。ドアの言葉にそれぞれ意味があって、ドアがそれぞれの精神的な境界を示してるんだけど、それに気付くのが遅れるとどんどん話から取り残されていくというw
コントの感じは初期のに準じているのだなという感じ。もうね、もりの脚本はですね、一番シリアスかもしれない境界での選択の前にコントが入るんですよwwwそこで散々ボケ倒すのですが、笑いすぎて展開を忘れるっていう、何故にそんな流れにしたんだ。それにしてもここまで4本、やすけんの裸率がはんぱないwwメインの役が普通に悩む好青年なだけに裏が変態キャラ過ぎていたたまれなくなってくるのであります。
前の3本と同じような終わりと思いきや、まさかのあの終わりでびっくりした。3章の崩れ落ちるしげさんが本当に良かったわー。

99年冒険公演:ESCAPER〜探し続けていた場所〜
初の物語もの。砂漠に存在するエンジャイル(最終刑務所)という難攻不落の刑務所を舞台にした逃亡劇。初めてと言いつつリーダー色全開で面白かった。色々と分かりづらいところもあったけど…。やっぱり並行世界が交錯するのかとか、やっぱり劇中に5人が登場するんだとか、やっぱり派手な踊りは入るんだなとか、色々と前作までの色を踏襲しつつ新たな方向に踏み出そうとしている感じが。あぁこれ以降のWARとかLOOSERに繋がるんだなという原石的な印象を受けました。刑務所パートと現代パートで話が進んでいくのですが、刑務所パートはシリアスだなーと思っていたら…やすださん…やすださんの変態っぷりに笑ったw 現代パートも最初すごい勢いで遊んでたので相変わらずだなーとにやにやしましたが。主要な話はさ、その刑務所で唯一脱獄を果たした(が、射撃の名手である所長に狙撃される)タクマの物語であります。現代と交錯しつつ2重に追われていく感じだとか、刑務所内での劇中劇とタクマの逃亡を重ねあわせるところだとか、タクマが撃たれたところがそのまま現代のやすけんに繋がる辺りとか、演出面で「お!」と思った次第です。タクマ役の音尾さんが超かっこいいのと現代版の安田さんが可愛いw 最後のクリスマスプレゼント欲しい…。

00年番外公演:FOUR〜求め続けた奴等の革命〜
もり以外の4人が脚本演出をしたオムニバス形式です。もう超笑った。これは番外と銘打たれているだけに本当に番外っていうか、やりたい放題やったなーって感じで凄かった。もうね、フリーダムです。通販番組収録中、スポンサーに無茶な商品を押し付けられたスタッフを描いたシュールなコメディ(シゲさん)、王を亡くしたカレー国でカレー王子が王位継承問題&謀反に巻き込まれる正統派少年ジャンプ物語なんだけど、出て来る人々の名前で全てが台無しな話(音尾さん)、アイドルグループNACSのメンバー脱退どたばたコメディ(洋さん)、使われていない電話番号に電話をかけ続ける老人とその他愉快な仲間老人のちょっとしんみりする話(やすけん)
それぞれのカラー出てるなーと思うんですけど、本当に本当にしげさんと音尾さんのやんちゃぶりが半端ないw好き放題すぎてわろたwwあとどの劇でも音尾さんがものっそい可愛がられてて、末っ子キャラなんだなぁと微笑ましくなってしまいました。そして大泉さんのジャニーズネタでお腹痛いくらい笑った。あれは狡い…。あれが素の楽屋の会話らしいですが、面白すぎるww ジャニーズネタとかいちいちキレがあるんだよなぁ。洋さんの着眼点ほんとすごいわ。そして自分の劇の中でも変態キャラだったやすけんに泣いた。

01年ときめき公演:LOVER〜想い続けたキミへの贈り物〜
初のラブストーリー。これは面白かったな。恋愛の問題を抱えたなくすの5人と女性5人が合コンするだけの話なのですが、男性パートと女性パートで対になって進んでいく感じ。男性5人にはそれぞれときめきを演出してくれるときめきマンが担当について…っていうラフなどたばたもの…。みんなのびのびしてた気がする。話がシンプルな分、最後の演出が派手であった。今までみたいにシリアスに進んでいく部分/思い切りコントする部分って言う感じで分けられて無くてゆるゆるとボケが続いていく感じが、その後のNACSさんの感じっぽい気がする。途中くすくすっと笑いながら進んでいって、でも途中ほろっとして、最後に突入っていう流れが。
お笑い部分っていうのを作って強制的に引きつけるんじゃなくて、なんていうのかな、全体に漂うNACSという空気にお客さんを巻き込んでいく感じって言うのでしょうか。そういうのが今の感じに近いと思った。リーダーが小慣れてきた感じがしたし、これ好きだな。洋さんが主役って言うのも新鮮だった。あと、NACSさんはどうしてもアイドル的な人気があるからきっと女優さんも気を使うんだろうと思うのですが(そのようなことをシゲさんが言っていたのをスナックエリーにて大宮エリーさんがばらしていたw)ここまでずっと同じ女優さんが使われていて、特に達子さんが愛しくなってくる…。

02年約束公演:WAR〜戦い続けた兵たちの誇り〜
総勢20人の男たちによる戦争モノ。ZEPPでやったこともあり、とにかく音楽・照明が派手!!!やったらオルタナ系のパンクやらメロコアやらが流れていたことからも分かるように勢い再びって感じでした。勢いありすぎて多少無理やり展開&ちょっと分かりづらい&台詞聞き取れないよー的な部分もあったのですが、私はこの話好きだー。ものっそい男の子!っていう感じの舞台だった。世界観は良かったんだけど、なまじテーマが大きすぎるために細部の詰めが甘いのと、20人出て来ると深く掘り下げられない部分が出てきてしまうのと、戦争というテーマがテーマだけに落とし所が難しかったのだろうなと色々と思ってしまう。多分総帥にもうちょいフォーカスを当てればもうちょい分かりやすかった気が。でも2時間だもんなー難しいよな…。リーダーがこれは脚本に悔いが残るって言ってたけど、もうちょい手を加えて再演して欲しいくらい好きだw
実は順番的にこれを先に見てしまっていて、今だと安田さんはアクのある役が多い気がするのですが、WARだと生きる意味に悩む青年を演じていて意外だなと思っていました。だけど順を追ってみていると元々そういう役が多かったんだね!!珍しく安田さんが脱いでいないという奇跡のw これもまた夢のなかで5人が出て来る感じなのですが、ギャグは封印と銘打ちつつもその部分で遊んでたのが印象的です。

03年第9回公演:ミハル
シゲさんが脚本演出ってことでいつもと感じが違う。1場面で進んでいく話であります。ホテルの一室を舞台に刑事の二人、ベルボーイ、AV男優、作家がとある事件に巻き込まれていくストーリー。シンプルに進むので途中だれそうになるのですが(と言うか私はだれそうになったw)、そこを救っているのは5人のキャラクター、個性の強さなんだろうなと思う…。適度に笑いが放りこんであるのもいいのだろう…。
安田さんがAV男優の役で始終裸なのが気になって気になってw
でもさ、今まではNACSのケンさんが脱いでるor変態キャラだったのですが、役で脱ぐっていうのは新しい気がしたw こっから安田さんはアクの強い役続くもんなー。シンプル展開なんだけどシュールみたいな感じが凄いシゲさんぽいなぁ。

04年第10回公演:LOOSER〜失い続けてしまうアルバム〜
祝東京進出。そして初DVD化。新選組をテーマにした歴史物。と言いつつ主人公は現代に生きるシゲさんです。現代と江戸時代が交差する、言わばNACSの王道展開ですよね。そして過去の集大成っていう感じがしました。LOOSERがWARから繋がっているような気がしていて。WARは戦争を通して生きる意味を問い続けていたやすけん(夢の中ではLOOSERと同じように生きる意味を探している普通の青年でもある)が主役なのですが、LOOSERは現代で「なんとなく生きている」シゲさんが主役です。テーマは共通している気がする。オチも含めて。どちらも結局死をもって生きる意味に気付くのは賛否両論だと思うのですが、とにかく「熱いなー」という印象を受けました。やー洋さんはほんと器用だなーいい役者さんだなーと思うわほんと。滅多に主役やらないけど確実に美味しいところかっこいいところ持っていくんだよね。なんでだろー土方さん超かっこいい。音尾さんの危うい無邪気さを持った沖田もまたいいんだよ。音尾さんは少年ぽい役とか透明な声がたまらん。クセのない青年が悩んでいく過程が本当に似合うシゲさんも相変わらず大きいwリーダーも、着実に変態路線は受け継がれている安田さんも、とにかく5人のカラーがそれぞれ出ていてある種「NACSの形を作った集大成だなー」と思った。それ以降はきっちり物語路線になってしまうし、NACSの5人(というかLOOSERはシゲさんと音尾さんしか出てこないのですが)も出てこなくなっちゃいますしね。そして勢い迸っている感じもLOOSERがラストな気が。だからなんか過去の集大成ぽくて、ここで区切り線がある気がしてしまうんだよなー。あと、とにかく安田さんの芹沢鴨の存在感がすごいw

05年全国公演:COMPOSER〜響き続ける旋律の調べ〜
やっとコンポーザーまで来たあああ。私が一番大好きで一番完成密度が高い気がするCOMPOSER…。NACSさん初の全国公演ということで気合が詰まっているように見えるのです。ベートーベン親子の確執や歴史をシューベルトサリエリモーツァルトの悪霊を通して描くのですが、途中に散りばめられているギャグといい、一人何役もこなしてく感じといい、一緒に泣けて笑えてっていう脚本だとか、本当に面白いんです。あぁ、面白い、それに尽きる気が。いい意味での敷居の低さがあって、大多数へと向ける明確な意志を感じる。
最後の歓喜の歌のカタルシス感が凄い。あそこの洋さんが本当に素晴らしかったのである!LETTERから見ていると本当に本当に5人ともいい役者さんだなぁとこんな私が思ってしまえるくらいに、ほろりとしてしまうくらいに良いところが引き出されている気がして、それはLOOSERを通過したからなんだろうなと思う。特典disc見てたら全国展開大変そうだったけど、最後のやり切った感満載の顔とかほんと素敵だったわー。シゲさんのシューベルトとやすけんのモーツァルトが嵌っている。特に安田さんの突き抜けた感が凄いw あの変態ケンちゃんがこうなるとは…。

07年ふるさと公演:HONOR〜守り続けた痛みと共に〜
恵織村を舞台にした話で、五作という一人の男の少年時代〜死ぬまでを描いた壮大な話…なのですが、5人でやってるからとにかく役が多い!でもそれがNACSぽくて面白かったりもするのですが。リーダーお得意の過去が交錯する系の話なのですが、昔と違って洗練されてるw(それでも初見だと混乱する人もいると思うのですが…)これも安田さんの存在感が凄いんだよなー。五作さんていう老人をやってるんだけど、ものっそいインパクトのあるケンタウロスの役もやってて(もちろんその場面はギャグ満載です)、ほんと役の振り幅が半端ないっす。セットが激しく豪華になっていたり、和太鼓に挑戦していたりと、この期に及んでもまだ新しいことをしようとするリーダーの心意気を感じる…。クオリティー安定してたなーと思う。

09年第13回公演:下荒井兄弟のスプリング、ハズ、カム。
洋さん演出脚本。洋さんらしさ全開っていう気がする。笑いの感じとか。5兄弟で織り成すホームコメディって感じでしょうか。ミハルもそうだけどたまに他のメンバーが脚本演出やると新鮮で面白い。洋さんは本当に視点が鋭い&客観性に優れているんだろうなというのがよく分かる。ブルブルズもそうだけど、お客さんの求めているNACSを持ってくるもんなぁ。そういう意味で本当にお客さんに向けた、というのが出ているエンターテインメントだと思った。こうやってミハル〜下荒井って並べるとリーダーの話って脚本も演出もそうなんだけど、派手だなwさすが何もかもが大きい男、森崎博之


長かった。で、何を言いたいのかと言うと、NACS最高ー!大好きだわー!ってことでみんな早くこんぽーざーを買えばいいと思う!サブカル畑に浸かったうちのブログにいらっしゃるような人にこそ広めていきたいなー。